メイン オブ フェアリー...
原因不明の大地震...そして力の解放。
「ちょ・・・早いわよ!!ちょっと待ちなさいー!!」
慌ててフュルナが追いかけるが、黒き翼に追いつけるはずもなく、どんどん姿が見えなくなっていった。
「氷妖兄ちゃん!?待ってよー!」
先に行っていたたっしーさえも追い抜かして、ちいさな黒い翼を思いっきり広げながらオアシスへと向かう。
――・・そう、風を感じるの・・・そうすれば帰ってこれるわ・・・私も・・・貴方も・・・。
そう、そう言った。”アノ人“は。
今もあまり理解できないアノ言葉。
あの時の記憶は消え去りもしない呪いの翼・・・。
今では、こんなに信頼できる仲間も増え・・・ああ、しかし・・・。
ふと、氷妖は、翼をたたみ、地へ降り立った。
「・・・ライト・・・そして・・・ハク・・・。もう少し・・・俺が強ければ・・・」
灼熱の太陽の下、涼しげに見守る空を見上げながら、氷妖は言う。
「はぁはぁっ・・・氷妖兄ちゃん早いよ・・・はぁはぁ・・・」
その時、やっと追いついたたっしーが言った。
ハクとライトの面影に重なる無邪気なユキムグリを見ながら、哀しげに微笑み、氷妖はこう言った。
「・・・いこうか。」
「ったく何なんだよ・・・翼広げて一直線に向かったと思ったら急に立ち止まってよぉ・・・」
今到着した、フェイアントが呆れ気味に言う。
「本当に・・お前ってのはわかんないなー。」
氷妖は、その言葉を無視して、オアシスへと行く。翼はたたみ、仲間達と共に歩みながら・・・。
「・・・どうやら、蜃気楼ではないようだな。」
見渡す限りの水源。しかし、まだ道はあるようだ。
「ふぅ・・・まだ道はあるようだし、此処で少し休憩を取ってから進むとするか。」
熱い砂浜のはずなのに、何故か冷たい砂の上に座りながら、氷妖は言った。
「えー!!やだぁやだぁ!!早く行こうよぅ!!」
たっしーが、ぶぅーっと膨れながら、駄々をこねた。
「たっしー・・・私たちがいることをお忘れじゃないでしょうね・・・?」
そこには、もうダウン寸前のフュルナとフェイアントがいた。
「あ。そっか。ごめんねーあははっ」
と、また普段の元気な性格が戻り、水浴びをし始めた。
「しかし・・・この水、完璧に浄水されている・・・今までにこんなにも浄水された水は見たことが無い。この奥に何が・・・?」
水を一すくい取って、まじまじと見ながら氷妖が独り言を言った。
・・・その時だった。
ザヴァーーーン!!
不意に、たっしーが水浴びしていた水源が、激しく揺れ始めた。
振動6?いや、そんなものとは比べものにならない!!20くらいあるんじゃないか!?
地震を濃縮して揺らせたかのような大地震の中で、たっしーの声が聞こえた。
「ごぶぁっ・・・・にぃ・・・ちゃ・・・」
「たっしーー!!!」
ここでまた、失ってしまったら・・・!!同じ過ちは繰り返さない・・・・自分の命と引き換えでも!!
力が絶頂に達した時、氷妖の体に、異変が起きた。
「ガアアアァァァァァ!!!!!」
焼けつくような痛み。痛み。痛み。すべての痛みは、あの翼から来ていた。
「ぐあぁぁ・・・翼よ・・・解き放て・・・!!!」
一瞬だった。
目も焼けるような、眩しすぎる光が一瞬光ったかと思うと、そこには倒れた氷妖と、座り込むたっしーが居た。
「ふ・・・・力を・・・使いすぎた・・・みてぇだ・・・・」
消えそうな声でそういうと、ぐったりと目をつぶった。
「にい・・・ちゃ・・・?」
たっしーが心配そうに氷妖に近寄る。
「大丈夫よ・・・息はしてる。気を失ってるだけね。」
フュルナが安心したように呟く。
「一体なんだったんだ・・・?目をあけてられない程のあの光・・・。あの大地震・・・」
フェイアントが、たっしーの頭を撫でながら、考え込むように言った。
「・・・作戦は失敗か・・・。」
暗闇の中で、声ともつかない、音に近いものが流れた。まるで、感情の無くなった声のように・・・
「はっ・・・氷妖が力を一時期ですが、解放したようです・・・」
「つくづく邪魔だ・・・あのラヴォクス・・・。早く手を打たねばならんな・・・。もう、下がってよいぞ。」
「・・・御意に。」
続。